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突き抜けるような青い空、大きな入道曇、眩しい程の緑に囲まれた町。
一時間に一本しか来ないバスに乗って、そのセールスマンはやって来た。

セールスマンはバス停で一人の少女と出逢う。制服姿の少女はとっくに始業ベルが鳴り終わった時間に、誰もいない県道にひとり佇んでいた。
学校へ行きたくない少女に、セールスマンは「お前に商品を売ってやる。」と、ひとりの男を連れてくる。
戸惑う少女に向かって「お前に今一番必要なもの、先生だよ。」と言い残し、去って行くセールスマン。
少女は訝しみながらも、先生と呼ばれたひとりの男に付いて行くことにした。

一方、町では大きなショッピングモールの建設話が持ち上がっていた。景観に不釣り合いだと反対する市民たち。
建設責任者の万田(まんだ)はそれを苦々しく思っていた。
そこへ現れたセールスマン。万田に市議の石肌(いしはだ)を紹介してやる。
石肌と手を組んだ万田は瞬く間にショッピングモールの建設話をまとめ上げ、市民たちの賛同を得る。

先生との授業を重ね、少しずつ心を開いていく少女。
先生との柔く優しい時間の中で、少女は目には見えないモノの大切さを学んでいく。

しかしある日、少女は先生の過去の秘密を知ってしまう。轟く雷鳴と凄まじい雨が二人を打つ。
豪雨で河川が氾濫する中、少女はひとり逃げるように走り出す。
その時、急ピッチで進められていたショッピングモールの建設現場の土砂が流れたとの情報が町役場に入る。
消防隊が出動する事態の中、過去を振り切って生徒を救う為に走り出す先生。

降りしきる雨の中、過去の真実を語った先生の最後の授業が始まる。

あらすじ

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